Top > 感染性胃腸炎の概要
現在の流行状況は こちら
感染性胃腸炎とは、細菌、ウイルス、寄生虫などの病原体による感染症の総称です。
細菌ではサルモネラ、腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、カンピロバクターなどが、ウイルスではノロウイルス、サポウイルス、ロタウイルスなどが、寄生虫ではクリプトスポリジウムやランブル鞭毛虫などが原因となっています。
細菌性の感染性胃腸炎は、多くが夏期を中心に食中毒として報告されています。ウイルス性の感染性胃腸炎は冬期に多く、ノロウイルスを中心に毎年、学校や入居施設などで集団発生がみられています。寄生虫による感染性胃腸炎は汚染された水などから感染することが多く、海外からの帰国者に多くみられます。
原因となる病原体には、ノロウイルス(Noro virus)、ロタウイルス(Rota virus)などのウイルスのほか、細菌や寄生虫もあります。
感染経路は、病原体が付着した手で口に触れることによる感染(接触感染)、汚染された食品を食べることによる感染(経口感染)があります。
病原体により異なりますが、潜伏期間は1~3日程度です。ノロウイルスによる胃腸炎では、主な症状は吐き気、おう吐、下痢、発熱、腹痛であり、小児ではおう吐、成人では下痢が多いです。有症期間は平均24~48時間です。ロタウイルスによる胃腸炎では、おう吐、下痢、発熱がみられ、乳児ではけいれんを起こすこともあります。有症期間は平均5~6日です。感染しても発症しない場合や、軽い風邪のような症状の場合もあります。
特別な治療法は無く、症状に応じた対症療法が行われます。
乳幼児や高齢者では下痢等による脱水症状を生じることがありますので早めに医療機関を受診することが大切です。特に高齢者は、誤嚥(おう吐物が気管に入る)により肺炎を起こすことがあるため、体調の変化に注意しましょう。おう吐の症状がおさまったら少しずつ水分を補給し、安静に努め、回復期には消化しやすい食事をとるよう心がけましょう。
ロタウイルスについては、予防接種法に基づく任意予防接種が行われています。ノロウイルスについては、予防接種はありません。
トイレの後や、調理・食事の前には、石けんと流水で十分に手を洗いましょう。
便やおう吐物を処理*する時は、使い捨て手袋、マスク、エプロンを着用し、処理後は石けんと流水で十分に手を洗いましょう。カキなどの二枚貝を調理するときは、中心部まで十分に加熱しましょう。
*おう吐物処理の具体的な方法は こちら(家庭向けパンフレット)をご覧ください
0.02%・・・環境消毒*に使用
0.1%・・・おう吐物・ふん便が付着した場合の処理に使用
*家庭や施設において、発生時にトイレのドアノブや手すりなど、多くの人が触れる場所の消毒に使用
(注)次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させるため、金属部分に使用した場合は10分程度たったら水拭きしてください。また、塩素ガスが発生することがあるので、使用時は十分に換気をしてください。
濃度(希釈倍率) | 希釈方法 |
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0.02%(200ppm) | 2リットルのペットボトル1本の水に10ml (原液をペットボトルのキャップ2杯) |
0.1%(1000ppm) | 500mlのペットボトル1本の水に10ml (原液をペットボトルのキャップ2杯) |
通常は症状から診断されますが、検査診断は、迅速診断キットを用いた抗原検査や、病源体の検出によります。
感染症法では、五類感染症(定点把握対象)として定められ、定点医療機関から毎週患者数が報告されています。また、ロタウイルスによる胃腸炎の場合は、基幹定点医療機関からも毎週患者数が報告されています。